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ゲーム翻訳者に読んでもらいたい三冊の本
今回ご紹介するのは、「ゲーム翻訳者」にオススメしたい三冊の本です。かたよったチョイスになってしまいましたが、内容は本当にオススメです。
また、「翻訳学入門」には参考文献がたくさん掲載されているので、そこから芋づる式に手を広げていくのも良いかもしれませんね。
翻訳と異文化
1冊目はゲームとは直接関係ありません。日本語と英語の、そしてそれぞれの文化のズレを細かく、そして具体的に取り上げ、一方から他方へと移し替える際の問題を示す「比較文化論 + 翻訳」の読み物です。夏目漱石の『こころ』がどのように英語に訳されているのか、なぜそうしたのか? 児童文学の翻訳では過去どんな試みがされてきたのか? 翻訳に興味のある人ならどこかで話したくなるような知識と共に、翻訳を語る上での確かな語彙が身につく一冊です。現在はオンデマンド販売(注文してから印刷する本の販売方法)で入手可能です。
翻訳学入門 [単行本]
再びみすず書房の一冊。こちらもゲームではなく翻訳関連の本ですが、翻訳を学問として成立させてきた欧州と違って「翻訳学」を教える大学の少ない日本では実務についている人でも意外と体系的に勉強していなかったりするもの(私がまさにそうでした)。何となく使っている「意訳」などの用語がどういう経緯で今の意味、定義になったのかを紹介しながら、主要な概念を体系的に紹介してくれます。なお、これを読み終えてまだ足りないと感じたら、「翻訳理論の探求」をおすすめします。
図説 銃器用語事典
やっとゲーム翻訳っぽい 1 冊です。これは文字通り「事典」ですが、優れた読み物でもあります。私自身が手に取ったきっかけは「銃になじみがなかったから」という至極単純なものでしたが、最初から読み進めたら意外と楽しく読めて、するするっと最後まで読み切ってしまいました。用語によっては初級、中級など理解度に応じた説明の書き分けがあり、1 週目では理解できなかった内容も 2 週目にはスンナリ理解できる、といったやり込み要素(?)も。
ゲームで、「弾を一発残した状態のほうが空にした時よりも素早くリロードできる」システムはよくあるけど、あれ何で?と思ってるアナタもこの本を読み終えれば疑問解決ですよ。ゲーマーの方なら、戦争もの FPS でニヤリとできるようになるのはもちろん、SF 系 FPS でもベースにした実在武器か分かったりして一層楽しめるようになるでしょう。
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