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『デジタルゲームの技術』出張編

ミドルウェアの過去、現在、そして未来

松井 悠(編集部) 2011-07-19
『デジタルゲームの技術』出張編

2011年7月にソフトバンククリエイティブから発行された『デジタルゲームの技術 開発キーパーソンが語るゲーム産業の未来』。全9人によるインタビュー集となるこの書籍の内容を抜粋してお届けしていきます。

第3回目となる今回は、「ミドルウェアの過去、現在、そして未来」と題して行われた、株式会社KH2Oの大前広樹さんのインタビューをお届けします。

ミドルウェアの過去、現在、そして未来

近年のゲーム開発において、ミドルウェアの導入を行うケースは年々増加の傾向にあります。ここ数年では、家庭用ゲーム機やPCゲームなどのハイエンド機のみならず、ポータブル機やスマートフォンへの導入も進んでいます。
この章では『デジタルゲームの教科書』知っておくべきゲーム業界最新トレンド』で、第21章ミドルウェアを執筆した株式会社KH2Oの大前広樹さんにご登場いただきます。大前さんは現在、ゲーム開発を行うほか、ゲームエンジン「Unity」の日本地域担当ディレクターとして活動を行っています。
ミドルウェアはどのように発展し、これからどうなっていくのか。ミドルウェアの内側と外側を見つめ続けてきた大前さんならではの視点をお伺いしました。

プロフィール

株式会社KH2O 代表取締役 大前 広樹(おおまえ ひろき)

南カリフォルニア大学中途退学後、I T ベンチャー企業を経て株式会社フロム・ソフトウエアに入社。PlayStation 3、Xbox 360等のハイエンド向けマルチプラットフォームにおけるゲーム開発環境の設計・開発や、ミドルウェアの評価・導入などを担当する。2009年に株式会社KH2Oを立ち上げ、次世代のゲーム開発企業を目指して奮闘中。BBT大学ITソリューション学科助教。2010年11月よりミドルウェア「Unity」の日本地域担当ディレクター。

コンソールゲームから、スマートフォン向けにシフトしつつあるミドルウェア市場

――「 そもそもミドルウェアとは何か」というところから、お話をお伺いしていきたいと思います。

大前:『デジタルゲームの教科書』にも書きましたけれども、ミドルウェアというのは、OS とアプリケーションの間に位置して、特定の問題を解決するソフトウェアのことですね。
だから、ミドルウェア単体では何もしないんですよ。実行もできないことが多い。けれども、何か自分のアプリケーションにそれを組み込むと、この部分はミドルウェアがやってくれる。

―― 大前さんは開発職に入られた2004年前後は、もうミドルウェアは当然のように使われていたんですか。

大前:僕が開発職に入った頃にはすでに登場していました。ゲーム系のミドルウェアが出てきたのは2000年くらいからですかね、コンソールのほうでは。実際には、ゲーム系そのものでミドルウェアというのは、1980年代後半とかからありますが。
そうですね、ちょっとカバーすると1987年とかそんな感じじゃないかと思うんですけど、3D グラフィックの台頭が一つの鍵だと思います。3D グラフィックの処理をするのって、けっこう大変だったんですよ。今だとDirectX ※1 とかあるけれども、その当時は自分で全部やるわけです。それこそ画面に投影して、ポリゴンを塗りつぶすところからやらないといけない。それを全部やるのはやっぱり大変なんですが、マシンのスピードも速くないし、当時は3D の数学をちゃんとできる人なんてそんな多くないですから、そのあたりがミドルウェアをゲームに活用しはじめたきっかけだったと聞いています。

この当時に一番使われていたミドルウェアというのは2 つあって、一つがDirect3D の前身になったRenderMorphic 社のReality Lab というソフトウェアで、マイクロソフトがそれを作った人の会社ごと買収して、Direct3D の土台にした。実際にはReality Lab がプロトタイプ版みたいな形になって、彼がマイクロソフトに入ってからもう一回作り直したんですね。それでDirect3D というのができた。
もう一つがRenderWare で、こっちは当時、「3D のグラフィックをやるならRenderWare」みたいな感じになっていたんですが、PlayStation 2くらいまではRenderWare を利用するのが流行っていて。北米ではPlayStation 2の後期に出たゲームの4分の1はRenderWare を使っていたみたいなレベルで一世を風靡したんですけど、エレクトロニック・アーツがRenderWare を買収して、消滅、みたいな感じですね。

※1DirectX:マイクソロフトが開発を行う、ゲームやマルチメディア向けのアプリケーションプログラミングインターフェース。

―― やはりミドルウェア業界は変化が激しいですね。

大前:激しいですね。やっぱり買収はたびたびあります。資金難に陥って倒産するところもあります。そこから、オープンソースにしたケースもありました。「もうメンテはできないけどコミュニティでどうぞやってください」といった形で。

ゲームエンジンとミドルウェアの違い

―― ゲームエンジンとミドルウェアの違いについて、ご説明いただけますでしょうか。

大前:ミドルウェアというのは、特定の問題を解決するためのものです。例えば、物理だったら物理とか、サウンドだったらサウンドとか、1個の問題に集中していて、その問題を解決するのがミドルウェアです。一方、ゲームエンジンというのは、包括的に全部やります、というソリューションなんですね。だから、専門的なソリューションVS. 包括的なソリューションみたいな感じで考えると分かりやすいです。

これって、似ているようで実は全然違うものなんです。そもそも、ミドルウェアを使いたい人たちというのは、自分たちのゲームエンジンとか、自分たちのゲームの作り方、仕事の仕方というか、自分たちのワークフローがある。それは自分たちが積み上げてきたもので、いろんな人たちがそれにのっとって経験値を積んで、その会社でしか作れないような商品が初めてできている。それに対して、「僕たちにはこれが足りないんだ」というところで、それを追加するためのモジュールをポンと入れるというようなことを想定しているのがミドルウェアなんです。だから、どちらかというと、「使いたい」という人の事情に合わせて柔軟に物事を変えられるようになっていったりとか、そういう“柔軟性”みたいなものというのがすごく重要で、そこを一生懸命作ると。「入れたい」というお客さんの話を聞いて、お客さんに合わせて自分たちを変えていく、みたいな商品であると思うんですね。

ゲームエンジンって、実はそれに対して真逆で、「全部提供します」なんですよ。要するに、ゲームの作り方を提供します、作る仕組みを提供しますということなんですけど、これって言い換えると「ワークフローを提供します」ということなんですね。つまりこれは「仕事の仕方を提供します」という意味で、それって、要するに、さっきの話と逆で「こういうふうに作れるようにしたから、それに沿って作れ」というのがゲームエンジンなわけです。包括的なソリューションではあるんですけど、逆に「俺たち、自分たちで作り方を決めているんだ」というような人たちに合わないわけですね。

―― それがゲームエンジンとミドルウェアのざっくりと大きな違い。

大前:ええ。自分たちで作り方みたいなものをどんどん構築してきた人たちは、そんな、まるっとお仕着せのものを出されても困っちゃうと。だから、このピンポイントを解決するためのソリューションだけくださいということになります。
だけど、例えば新興のスタジオ……中国とか韓国とか、また日本でもソーシャルゲームのスタジオとかだと新しいスタジオがどんどんできていていますが、彼らはあまり今までの積み上げがないので、要するに「どうやって作ろうか」みたいなことを一からやっていかないといけない。そうするといわゆるセットパッケージじゃないですけど、ゲームエンジンがポンと入ると自分たちの作り方みたいなものがそれである程度確定する、ちゃんと形になるので、ありがたいわけです。

ミドルウェアシーンの大きな変化

――『デジタルゲームの教科書』を執筆されてから、1年ほどが経過していますが、ミドルウェアシーンでは大きな変化はありましたか?

大前:まず、大きな変化があったのは、Android や、iPhone、特にAndroid でゲームを作ることについて「どうする?」みたいな話が話題になりました。スマートフォン向けのゲーム開発に対応しているミドルウェアであったり、ゲームだけじゃなくてアプリ開発のフレームワークみたいなものの需要というのが、僕の周りでもすごく大きく聞かれるようになってきていて。日本国内でもけっこうそういったカンファレンスやセミナーがあるたびに「どれがいいの?」みたいな話が頻繁に出るようになってきました。

デジタルゲームの教科書でミドルウェアの章を書いたときまでは、どちらかというとコンソールゲームがメインみたいなところがありましたが、コンソールゲームのミドルウェアとかゲームエンジンの主戦場がだんだんiPhone とかAndroid になりつつあります。
PlayStation 3 とかXbox 360 で、「今までの直線上で何かすごいことやろうよ」みたいなことよりも、もっと「ハンドヘルドをどうするの?」ということを解決するためツールとして……既存のプレーヤーであるEpic Games ※2 も「iPhone もAndroid もやります」みたいな感じでやってきていますし、新しいプレーヤーも参入してきている。そこが強く出てきたんじゃないかなと思います。 それからCRI ミドルウェア※3 も、CRI ADX2 for Android とか、iPhone をやっていますし、RAD Game Tools ※4 もiOS 版のBink を作っている。やはり、スマートフォンに興味を持っていますね。昨今、コンシューマのビッグタイトルが少なくなっていますから。ミドルウェアビジネスの規模感、特にコンソールゲームのほうではどんどん小さくなってきているというのがありますね。ちなみに、CryEngine ※5 が今年GDC でやっていた講演ではCryEngine for Cinema というものがありました。

※2Epic Games:Unreal Engine 3を開発。iOS 向けのゲームエンジン、Unreal Engine 3 on Mobile を2011年に公開した。
※3CRI ミドルウェア:動画や音声に関するミドルウェアを中心に開発する日本の企業。
※4RAD Game Tools:ビデオコーデック「Bink」をはじめ、UI 作成ツール、プロファイラー、3D ツール、サウンドオーサリングツールを開発している。
※5CryEngine:ドイツのCrytek 社が開発しているゲームエンジン。

―― それは、いわゆる劇場映画の……?

大前:そうそう、劇場映画用のプロトタイプ映像制作ツールとしてCryEngine 3がfor Cinema というパッケージを発表していて。彼らは基本的にとにかくハイエンドに行こう、行こうみたいな感じなんだけど、CryEngine の良さを出そうと思ったらグラフィックス相当作り込まないとならなくて、それだけでお金が凄くかかる訳ですよ。そんなわけで、たぶん今CryEngine を使ってゲームを作ろうって人、あんまりいないんじゃないかな(笑)。
ですから、ビッグバジェットの人たちゲーム業界にいないから、ビッグバジェットの人たちを求めて、「俺たち、ムービーやるわ」みたいな感じになったんじゃないかと思うんですね。そこら辺は本人たちに聞いてみないとわからないけど、でも、for Cinemaってそういうことだと思います。

そういう動きがあって、けっこう、みんな新しい収益源を手に入れようとして、ハンドヘルドにガッと行っている人たちがいたり、別の業界をつかまえにいっている人たちがいたりというような形にはなっていますね。
そんな中で、特徴的なのがゲームエンジンだとTorque ※6 とGamebyro ※7です。「Gamebryo Lightspeed 」が、会社が倒産してなくなっちゃった。Gamebryo は、中国・韓国ではすごく売れていたんですよ。ただ、北米や日本ではそんなにうまくいっていなくて。それで、何が起きたかというと、韓国でGamebryo を売りまくっていたリセラーが権利を買ったんですね。それで、Gamebase USA という会社を作って。Torque も2010年の11月に売りに出されちゃって、翌年一月にオーナーが変わった。

※6Torque:アメリカ、GarageGames 社が開発したゲームエンジン。家庭用ゲーム機の他に、iOS にも対応している。
※7Gamebyro:アメリカ、Emergent Game Technologies 社が開発したゲームエンジン。

―― 1年足らずでもずいぶんと大きな動きがありますね。

大前:そうですね。Unrealはモバイルに活路を強く見出し始めていて……あとは、最近インディーゲーム開発のところで名前が聞こえてきたのは「Game Maker」 ですね。これは2D のゲーム開発のオーサリングツールなんですけど、けっこうサクサクと2D のゲームが作れるので、なかなかいいという話を良く聞きます。
Game Makerを国内で使っている人はほとんどいないですが、GDCに行くと、けっこうインディーの開発者がプロトタイプを作るのに使っている。しかも安いんですよ、Game Maker。28ドルで買えてすぐ使える。

―― それでは、Unity ※8 についてはどうでしょうか。大前さんは現在Unity 関連のお仕事をされています。最近、そこかしこでUnity の名前が聞こえるようになってきているんですが……。

大前:実はあんまりプロモーションしていないんですが、ここ1年でUnity の名前が聞こえてくるようになったのはAndroid の需要があったからではないかなと思っています。今、Android とiPhone のマルチプラットフォームでちゃんと開発ができるソフトってUnity しかない、というのもあって皆さんが使い始めているようなところはありますね。
ここ1年、Unity にもけっこう変化がありました。バージョン3が出て、ツール自体がアップデートされたのもあるんですけど、「Unity Asset Store」というのを始めたんです。これがサービス統合型のもので、いろいろな拡張機能をその中で売れるようにするというビジネスがツールの上で動いているんです。

もちろん、開発者が作ったアセットを公開して販売もできます。Unity を使ってゲームを作ったときに、例えばそこで作ったモデルでもいいし、そこで作ったUnity を使いやすくするための拡張機能とか、AI の機能とか、そういうのだけ切り売りすることができるようになったんです。それをパッケージングして、AssetStore に載せると、他の人がそれを使ってゲームを作れる。
だから、世の中にいろいろなブログとかで散らばっていた、いわゆる機能拡張とかそういうのが1つの場所に集まって、スムーズに開発ができるようになった。

※8Unity:Unity Technology 社が開発を行う、全プラットフォームに対応したゲームエンジン。

―― それはいつごろ始まったのでしょうか?

大前:2010年11月ですね。これがすごく良いんですよ。Unity はユーザーがすごく多かったので、いろんな拡張機能がそこかしこにアップされていたんですが、自分でインターネットを探して「何かいいのないかな」みたいな感じで調べていくという必要があった。でも、それがワンストップで全部できるようになったおかげで、足りない機能をちょっとどこかから持ってくるといったスピードがとにかく速くなった。

―― 普通のWeb ページのように、検索をかけて……。

大前:そうそう、Apple のApp Store みたいな感じです。それは、僕が予言した内容でもあったんですよ。『デジタルゲームの教科書』の「これから」のところ、「Webサービス統合型のミドルウェア」で。

――「 ライセンス形態がサービス指向に変わる」というキーワードにも触れていましたね。

大前:サービス統合型のミドルウェアというのが増えるという話をしましたけど、今、プラットフォームがミドルウェアを提供するようになってきているというか、OpenFeint ※9 を買ったグリーとかngmoco:) ※10 を買ったDeNA とかも、自分たちのプラットフォームを使うためのSDK みたいなミドルウェアを提供して、「プラットフォームにすぐ入ってきてくださいよ」みたいな感じになっていて、そこには課金の機能も入っている。つまり、サービス指向のミドルウェアというのが増えてきているんですね。

しかも、グリーがやっていることはかなり面白くて。中国でTencent(腾讯)というでっかいソーシャルゲームコミュニティがあるほか、mig33という、これも2,000万人くらいユーザーがいるコミュニティがあって、これらがオープンプラットフォームみたいな感じでアライアンスを組んで、全部、1個の仮想的なプラットフォームにしちゃおうと。「自分たちの1個のミドルウェアをつなげば全部いけるんだぜ!」みたいなことを彼らは考えているんですね。こういうことが起きているのは、その後の大きな流れの変化です。

※9OpenFeint:iOS、Android など、スマートフォン向けのゲームコミュニティネットワークを提供している企業。2011年4月、GREE が子会社化を行った。
※10ngmoco:):iOS 向けのゲームコミュニティサービス「plus+」を提供しているアメリカの企業。

ミドルウェア市場への新規参入

―― その他に、新たに参入をしてきた企業はありますか?

大前:新しいプレーヤーとして、例えばCorona ※11 とかTitanium Mobile ※12とかが出てきていて、Android とかiPhone とかでサクッとゲームを作れるようにしようよ、ということをやろうとしている人たちがだんだん増えてきていると。Web 業界の人たちはこういったツールを使ってゲームを作るというのが好きですから、このスタイルはわりと一般的になりつつある感じですね。 現時点でのミドルウェアを使わないで作る人とミドルウェアを使って作る人の比率というのは、Android に関しては圧倒的に使って作る人のほうが多くて、PlayStation 3とかだと半々か、使わない人のほうが多いかな……あるいは、ほんとに一部にしか使わない感じなんですけど。べったり全部使って作るみたいな感
じの比率の人っていうのはAndroid とかだとコンシューマーゲームをずっと作っていたゲームデベロッパーたちでさえ、そういうのを使ってやる、みたいな形になっている。それは大きな変化ですね。

※11Corona:アメリカ、Ansca 社が開発を行う、モバイル向けアプリケーション開発ツール。
※12Titanium Mobile:アメリカ、Appcelerator 社が開発を行うオープンソースソフト。JavaScript のソース

―― 先ほど巨大なゲームプロジェクトが少なくなってきて、かわりにスマートフォン向けのミドルウェアが活性化しているお話がありましたが、当然、大規模なゲームに比べるとiPhone、Android 向けの市場はそれほど大きくないわけですよね。単価が低い分、数をとにかく売っていく……。

大前:そういうモデルになります。例えば、Unity を使ってiPhone で出ているゲームってもう1,000以上あるんですよ。無料版も含めると、Unity のユーザー数って、2011年5月現在で、全世界で50万人を越えているんですね。去年の11月には35万人だったんですけど、今、50万人越えていて、半年で15万人増えた。ミドルウェア史上最多だと思います。あり得ない規模ですね、これは。
Unity が他のミドルウェアと一歩違うところっていうのは……なんか宣伝みたいになってイヤですけど、「コミュニティをどうやって幸せにするか」みたいなことをすごく真剣に考えていて。
「自分たちのソフトをどうやってこの人たちに売っていくか」というよりも「自分たちのやりたいことに賛同してくれるユーザーさんがどうやって幸せになるかをいかに一緒にやっていくか、みたいな感じで考えているんですね。

―― コミュニティ志向が強い……。

大前:そうですね。だから、Unity Asset Store も、僕は、心底びっくりした。そういうことをやる人がいればいいなとは思っていたけれども、どちらかというと、別のサービス、別の企業の仕事で、ツールを作る人たちはそれをやらないものだと思っていたんですが、それをツールを作る人たちが一緒にやっちゃった。実際、Asset Store は黒字ではあるけれども、ビジネスの規模としてはべつに大きくないし、これからも爆発的に大きくなることはないと思います。でも、開発者にとってのAsset Store というのは、もの凄く大きい。そういうことを率先してやる人達なんですよ。

今後は、開発プラットフォーマーがディストリビューションとか、開発者をサポートするための仕組みも一緒に提供するというのが、今後のスタンダードになっていくというか、それができる人たちがだんだん勝っていくんじゃないかと思います。
いかに中の人たちがモノを作るということに対してスピーディーにできるか、エコシステムを作るかといった話に、ゲームエンジンもなっていて。そういう意味では、一段、ステージが上がったところでの戦いに移り始めている。そこまでのビジョンと仕掛けみたいなものを提供できるところが最終的には勝っていくんじゃないかと思います。

―― そういったカスタマーサービス競争の段階だと、今までトップクラスのゲームに対してトップクラスのミドルウェアを提供してきた企業が追いついていないという状況であると。まだまだ、ミドルウェア業界も波乱含みですね。

大前:それで、最初に数社が脱落したということですね。

―― ちなみにミドルウェアを提供している会社が倒産すると、どうなるんでしょうか。具体的には導入していた会社はどういった行動を迫られるのか……。

大前:そうですね……。まあ、最悪なのは、ライセンス契約のパターンですね。買い切りの契約だったら、アップデートはされないものの、とりあえずは使用することはできます。ただし、新しいOS が出て、それに追従しないといけない、といったときには当然面倒ですが。
もし、ミドルウェアの使用許諾を出していたところが倒産してしまうと、その後、権利を取得した会社からは「それは別に契約してください」ということになったりする可能性はありますね。
今まで、ミドルウェアを使うのにハードルが高いところというのは、いわゆる伝統的なゲームのミドルウェアだとNDA(秘密保持契約)を組んで、試用データをもらって、ライセンスキーをもらって、みたいなことをやって、使うときには、契約書簡にちゃんと署名して、みたいなことをやるわけですよ。
でも、今勢いがあるところは、普通にWeb からそのままダウンロードして使ってOK で「誰でも好きに使っていいけど、ゲームを出す前に言ってね」、みたいなケースがけっこう増えていて、Unreal ※13 でさえそういう形になっているんですね。UDK も普通にダウンロードできる。

※13Unreal:Unreal Development Kit。商用利用を行う際には、ライセンスを購入しなければならないが、非商用利用に限り、無償で使用できるEpic Games の開発キット。
このインタビューの続きは、書籍「デジタルゲームの技術 開発キーパーソンが語るゲーム産業の未来」でご覧いただけます。

デジタルゲームの技術 開発キーパーソンが語るゲーム産業の未来

著者 松井 悠
仕様 A5版 336頁 1色
定価 2,730円(予価)
出版 ソフトバンククリエイティブ
株式会社KH2O
http://www.kh2o.co.jp/
Unity Japan Information
http://unity3d.com/japan/
筆者紹介/ 松井 悠 (編集部)
フリーライターとして1996年より活動。得意なゲームジャンルは、Player VS Playerのゲーム全般。 デジタルゲームを競技として捉える「e-sports」の普及のため、IGDA日本デジタルゲーム競技研究会世話人、世界最大のデジタルゲーム競技大会World Cyber Games日本プロデューサーや、中韓政府主催のInternational E-sports Festival日本プロデューサーを務める。 2011年より、オンラインゲーム「C9」公認ナビゲーター。2012年より、「Red Bull 5G」プロジェクトアドバイザー。近著に「デジタルゲームの教科書」、「デジタルゲームの技術」(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)。

『デジタルゲームの技術』出張編

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