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『デジタルゲームの技術』出張編

アーティストとプログラマーの橋渡しを行うテクニカルアーティスト

松井 悠(編集部) 2011-09-26
『デジタルゲームの技術』出張編

2011年7月にソフトバンククリエイティブから発行された『デジタルゲームの技術 開発キーパーソンが語るゲーム産業の未来』。全9人によるインタビュー集となるこの書籍の内容を抜粋してお届けしていきます。

アーティストとプログラマーの橋渡しを行うテクニカルアーティスト

昨今の中~大規模ゲーム開発の現場において、その存在の重要さが認知され始めている職業として、テクニカルアーティストの存在が挙げられます。テクニカルアーティストは、アーティストとプログラマーの仕事をスムーズに連携させ、効率化により開発コストを引き下げる潤滑油として活躍する、いわば縁の下の力持ちです。この章では、テクニカルアーティストとして、セガ社内のグラフィック制作をサポートし、また、IGDA(国際ゲーム開発者)日本において、テクニカルアーティスト部会を主催する麓さんにお話を伺いました。
麓一博さんからのメッセージ
専業テクニカルアーティストの性質上、具体的なタイトル事案をお話できない分、比較的抽象的な内容になっています。
幾つかのタイトルをサポートした中での経験したものがバックボーンにあるという点を頭の片隅に置いて読んでいただければ幸いです。

プロフィール

株式会社セガ 開発技術部 技術開発2課
麓 一博 ふもと かづひろ

1998年セガ入社。デザインデータ作成業務を担当。その後、現職である描画ライブラリ、開発サポート部門(開発技術部)へ異動。主にSoftimageのツールフローや、表現技術面のサポートを担当する。

テクニカルアーティストの業務内容と、これからの活動の方向性

―― まず、麓さんの会社の中での業務内容についてお伺いします。

:まずは私がいる部署から説明します。開発技術部、技術開発2課の主な業務は社内向け、もしくは社外向けの描画ライブラリを作ることです。
一般的に、ゲーム開発を行う際に、描画ライブラリにデータを渡すために各DCC ツール※1 からエクスポートしますが、弊社ではDCC ツールを各部署で、Maya、3ds Max ※2 とSoftimage ※3 それぞれ平均的に使っています。私はその中でSoftimage 担当のアーティストのためのデータ検証だったり、パイプラインだったり、仕様決めをメインにやっています。
その業務の一環で、タイトルで必要なパイプラインを作る人、単純に言ってしまえばテクニカルアーティストがいないとか、立ち上げの時期に際してテクニカルアーティストが必要だと言われたときに、そのタイトルまで週何回か常駐しにいって、パイプラインを構築したり、データ検証を手伝ったり、そういう業務をしています。

※1DCC ツール:デジタルコンテンツ制作ツール(Digital Contents Creation Tool)。
※23ds Max:Autodesk 社による3DCG 制作ソフト。
※3Softimage:Softimage 社による3DCG 制作ソフト。

―― 麓さんのほかにMaya担当の方や3ds Max担当の方が別にいらっしゃると。

:一人ずついます。

―― 今、「社外向け」というお話がありましたけれども、それはセガがパブリッシャーを務めるタイトルで。

:はい、デペロッパーさんに対してサポートも行っています。

―― テクニカルアーティストという肩書で、社内、社外で活動されるようになったのはいつごろからなんでしょうか。

:6年くらい前に私が開発サポート部門に異動してからですね。最初はテクニカルアーティストという言葉を自分でも知りませんでしたし、あのころは今ほど浸透していなかったので、意識はしていなかった。ですが、今からもう6年前くらい前、PlayStation 3とかXbox 360がリリースされるちょっと前に社内のアーケード用基板でLINDBERGH ※4 や次世代グラフィックのハードウェアを開発して、それ用の描画ライブラリを作らなければいけないということになって。
Softimage の担当者がどうしても必要だという社内の情報があったので、異動してきたというのがきっかけではあるんです。
なぜ異動しようと思ったかというと、分社していた状態※5 がセガは何年かありまして、それが1つの会社に各開発部が戻って合体したときに、それぞれが再度部署単位に分かれたんです。でも、1つの会社であるのに、情報があまりにも行き来していない。技術情報もそれぞれ囲っているので、同じようなことを各部署でやっていたりして、「これは効率が悪いな」と普段から思っていたので、何とか横の流れを整備できないかと思っていました。そこで、開発部署にいるよりも、開発部署からちょっと外側の視点で開発環境を見ていけたらなと思って、異動するという話に乗ったんです。

※4LINDBERGH:リンドバーグ。セガが2005年に開発したアーケード用システム基板。
※5分社していた状態:2000年に、当時9つあった開発部門を分社化、2004年に、再度統合を行った。

―― 各部署でほとんど車輪の再発明みたいなことをやってしまっていたんですね……。それが明らかになるのは、タイトルのリリース後に?

:後ですね。例えばリリースされた後で、社内で技術交流会的なものが持たれていました。そのときに、「このタイトルはこう開発しました」と発表されたときに、同じことをやっているな、同じようなところで困っているな、と感じることがけっこう多かったんです。
でも、それを聞きに行くにはどういう経緯を経たらいいのかがよくわからなくて。せめて技術情報だけでも部署を越えられないかなという気持ちはありました。

―― 御社には、社内のイントラネットで技術情報をみんなが共有できるページがあると伺ったことがあります。それは、まだなかった頃なのでしょうか。

:はい。イントラで技術情報を共有するページというのは、開発サポート部門に私が異動してから1年後くらいに作られたんです。中心となって作った方はもういらっしゃらないのですが、その方が構築して、私も含めてみんなでそのときに調べた技術情報や知っていることをそこに書き込んで、ウィキスタイルでまとめていったという経緯があります。

―― 今も更新は続いているのでしょうか。

:更新頻度は少ないですけど、更新は続けています。新しい技術が出てきたころはすごい更新頻度が高いんですけど、一回書いたら、それに関しては二度と書かなくていいですし、アップデート程度の技術情報だったらそんなに更新の手間はかからないですから。

―― 現在は技術の更新も時期的に落ち着いていると。

:そうですね。当時シェーダアーキテクチャー※6 に変わったというのが一番大きかったです、デザイナーにとっては。

※6シェーダーアーキテクチャー:描画に関わる表現を、シェーダプログラムにより記述する事が出来るように設計されたグラフィックスハードウェアのこと。この場合プログラマブルシェーダアーキテクチャに突入した頃の話なので、主にDirectX 8時代のグラフィックスプロセッサ(GPU)を使用した設計のことを指す。

テクニカルアーティストの導入によって変わってきたこと

―― 麓さんがテクニカルアーティストとして6年間やってきた中で、ご自身の目から見て、「ここは変わってきたな」という部分はありますか?

:そうですね。今、テクニカルアーティストを配属しないでプロジェクトを進めると、轍を踏むというか、同じ現象を何回も繰り返してしてしまうということになる。そこの意識が高くなった分、環境は変わってきているかなと思っています。

―― 現状、新タイトルのラインには必ずテクニカルアーティストがどこかのタイミングで入っているんでしょうか。

:それも、実はそうとは限らなくて……けっこう難しい側面があるんですけど、社内的に自分のような業務をしているというのを社内全員に認知されているわけではないことが1つあります。それから、複数のタイトルが同時期に立ち上がると、いけて2つ3つで、それ以上になるとこちらも、技術情報を見られないプロジェクトも存在していますね。
そういうプロジェクトに限って、中盤、後半になって火を噴いて、「何かいい方法はない!?」というふうに聞かれたりするんですけど……。

―― テクニカルアーティストの人的リソースがまだ足りていない。

:そうですね、充実はしていないですね。私は各段階にテクニカルアーティストが必要だと思っていまして、プロジェクトにずっと頭から最後までいるべき、べったりの人も必要ですし、そこからグループが部署に分かれるのであれば、部署のテクニカルアーティストが必要になってくる。
その中で、自分たちはたぶん広い目でセガの開発を見ているタイプのテクニカルアーティストだと思うんです。それでテクニカルアーティストとしての位置付け、ポジションを、誰が偉いというわけではないんですが、みんな同格なんですが、技術情報をやりとりする上で、このテクニカルアーティスト同士がコネクションを持って情報共有することで足りていない人的リソースをなんとか補っているという側面があると感じています。

SIG-TA 立ち上げのモチベーション

―― 今、社内でのテクニカルアーティストとしての活動のお話を伺いましたが、それとは別に、今年からIGDA のSIG-TA を立ち上げられました。立ち上げに至る経緯や動機に関してはどういったものだったのでしょうか。

:SIG-TA を立ち上げたのは、昨年のCEDEC で初めてテクニカルアーティストラウンドテーブル※7 のセッションを持たせていただいたんですが、その中で自分のテクニカルアーティストとしての環境は業界内で恵まれているほうなんだなと。社内でもちゃんと意識されていますし、ちゃんと業務として回っていけている部分があるんですが、他社さんはわりとその辺は曖昧で、「テクニカルアーティストというチームを作ってみたけど、結局失敗して一回解散した」といった話がラウンドテーブルの中でもあったんです。
そこで、まずはテクニカルアーティストを外から認知してもらおうと。外に対して訴えていくことで会社が「テクニカルアーティストって何だろう。どうやって使ったらいいんだろう」というのを、テクニカルアーティストの素質がある本人もそうですし、会社としても考えてくれるかなという気持ちがあったのと、テクニカルアーティスト自身の情報共有の場を作ろうと思いました。海外だとtech-artists.org もありますし、GDC でも、テクニカルアーティスト同士のつながりがあるんですが、日本国内にはなかったのでそういう場を広げていけたらなと思って、大ざっぱに言うと「テクニカルアーティストがテクニカルアーティストを幸せにしていく会」をつくりたいなと。

※7テクニカルアーティストラウンドテーブル:麓氏をはじめ、ソニー・コンピュータエンタテインメントJAPAN スタジオ山口由晃氏、株式会社ディンプス亀井敏征氏、株式会社日本CG サービス痴山 紘史氏の4名が日本におけるテクニカルアーティストの現状や、今後への課題をディスカッションした。

―― 麓さんは他の方に比べて恵まれている、と実感されたそうですが、それは日本のゲーム開発会社の中でも上位クラスの良い環境だ、という状況なのでしょうか。

:そうですね、他にも私のラウンドテーブルにパネリストとして参加していただいた方々の会社ではたぶんそれなりに認知されているんだと思います。皆さん、テクニカルアーティストという名前で参加されましたし、自分の会社の場合はこうしていますと。そういったことを語れるというのはその方たちは、比較的良い環境なのではないかと思います。

このインタビューの続きは、書籍「デジタルゲームの技術 開発キーパーソンが語るゲーム産業の未来」でご覧いただけます。

デジタルゲームの技術 開発キーパーソンが語るゲーム産業の未来

著者 松井 悠
仕様 A5版 336頁 1色
定価 2,730円
出版 ソフトバンククリエイティブ
筆者紹介/ 松井 悠 (編集部)
フリーライターとして1996年より活動。得意なゲームジャンルは、Player VS Playerのゲーム全般。 デジタルゲームを競技として捉える「e-sports」の普及のため、IGDA日本デジタルゲーム競技研究会世話人、世界最大のデジタルゲーム競技大会World Cyber Games日本プロデューサーや、中韓政府主催のInternational E-sports Festival日本プロデューサーを務める。 2011年より、オンラインゲーム「C9」公認ナビゲーター。2012年より、「Red Bull 5G」プロジェクトアドバイザー。近著に「デジタルゲームの教科書」、「デジタルゲームの技術」(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)。

『デジタルゲームの技術』出張編

「デジタルゲームの教科書」シリーズ第2弾として発売される、『デジタルゲームの技術 開発キーパーソンが語るゲーム産業の未来』に収録されている全9人のインタビューの一部をご紹介していきます。
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