- 連載

日本初の公式オフラインイベント「EVE Onlineプレーヤーカンファレンス東京」レポート
CCP GAMESと株式会社ネクソンは、先日10月16日に「青山スパイラルホール」にて、日本における初の公式オフラインイベントとなる「EVE Onlineプレーヤーカンファレンス東京」を開催した。今回は招待されたEVE Onlineプレイヤー70人ほどが参加者として集い、日本語サービスへの意見や、プレイヤー間の意見交換を行った。
再び動き出した「日本語化」。キーノートスピーチには日本語クライアントのデモプレイも
はじめに、株式会社ネクソン 運用部 ゲーム運用1チーム 左留間 正之氏のあいさつ、日本語化サービスの簡単な説明が行われた。
まず、EVE Onlineのゲーム開発および運用については、これまで通りCCPが担当し、ネクソンは「課金システム」について担当する。ゲームサーバーもこれまで通り、全世界共通のサーバーを使うという、EVE Onlineの日本語化にネクソンが関わってきたことで、既存の日本人プレイヤーが疑問に思ったことを一部、この冒頭で述べた形となった。
左留間氏のあいさつ後は、CCP GAMES CEO Hilmar Veigar Pétursson氏からのビデオレターが流れ、「何故2009年に一度、日本語化プロジェクトを中断したのか」などの、プレイヤーからはうかがえない事情などをある程度説明したうえで、「ドイツ語やロシア語の翻訳で発生している、翻訳上の問題をトータルに解決できるような、全く新しいローカライゼーション技術、通称セルベルスを日本語ローカライズに使用できる運びとなった」ことについても説明された。
Hilmar氏のビデオレター後は、CCP Creative Director Torfi Frans Olafsson氏よりキーノートスピーチが行われる。こちらについては、前半部が「EVE Onlineはどのようなゲームなのか」という紹介だったが、後半部分では参加プレイヤーが「待っていました」と言わんばかりの「EVE Online日本語版クライアントのデモ」が行われたのだ。
スクリーンに映し出された映像は、肉眼では確認しづらかったものの、ところどころに翻訳されたテキストを見ることができた。
キャラクター選択後の「ロード中」という単語や、艦船のCargo holdを「カーゴホールド」とカタカナで書き換えているなど、ユーザーインターフェース周りに関しては、不自然な翻訳は極力避けられているようだ。例えば、Droneを「艦載機」とか、Careerを「空母」とか、ストレートな和訳で世界観が崩れるのを、実は既存のプレイヤーは特に気にしていた。
このデモプレイでは、日本語化クライアントデモのほか、今後実装される予定の、新しいCaptain's Quarter、そしてまもなく実装予定のIncarna1.12パッチで戻ってくる、Captain's Quarter以前のShip hangarについてもデモが行われ、旧Ship hangarのデモが行われたとき、会場のプレイヤーから拍手喝采が起こった。参加者も1人のプレイヤーとして、ゲーム内の細かいところが気になっていたようである。
MMOのイベントとしては珍しい試み、参加者同士のテーブルディスカッションも
キーノートスピーチが終わると、QAセッションとプレイヤー同士のテーブルディスカッションが始まる。
QAセッションは、その場で質問できるというわけではなく、参加者が招待メールの返信に記載した、いくつかの質問からピックアップされ、それについて答える形式となっていた。
Q:CCPがネクソンと提携するメリットとは?
A(Torfi氏):日本の文化により近いネクソンは、ローカルなパートナーとして重要だと思っています。今後我々もネクソンから学ぶことはたくさんありますし、ネクソンからも学べることがあるんじゃないかと思っております。
Q:ネクソン経由で課金する際、固定料金となるのか、為替で料金が変動するのか?
A(左留間氏):購入に関してはネクソンポイントを購入し、PLEX等を今まで通り購入していただくことになります。為替に関しては、重大な変化があった場合に、検討することになります。
Q:アカウント情報は、ネクソンが管理するのか?
A(左留間氏):EVE IDに関してはCCP、ネクソンIDはネクソンで管理します。
Q:今後、新しい艦船を追加する予定はありますか?
A(Torfi氏):新しい艦船をリリースする予定は、近い将来にあります、そのデザインというのは、最近開かれたコンテストにファンが投稿したデザインから選んで、新しい艦船を作って提供していきたいと思っています。私たちのアーティストチームがスクリーンショットを見て、そのベースに今モデリングをして、デザインの真っ最中です。我々は常に新しい艦船をリリースするときは、その艦船が新しい役割を果たせるかというのがキーになってきますので、皆さんが期待されているほど艦船のリリースはしていないのですが、それは、この役割を常に考えてやっておりますのでご了承ください。
Q:ゲーム内で起きた技術的なトラブルのサポートは、日本語で対応してもらえるのか?
A(左留間氏):日本語クライアント公開後は、日本語でサポートを受けられます。
Q:今後、リアリティをどこまで追求するのか。市場経済や(ゲーム内の)株取引など。
A(Torfi氏):常にリアリティを追求していますが、株式市場などは常に信頼に左右されるものなので、そこはまだ難しいかなと思っています。
Q:PvE、とくにミッションに関して今後の展望をお聞かせください。
A(Torfi氏):今のところは、ワームホール内のミッションの増加、インカージョンのミッションも増やす予定です。PvEに関しては今後さらなるアップデートを提供していきたいと思います。一つ言っておきたいのは、新しいものを入れるときは常に、それがどう新鮮なものを提供できるかがポイントとなりますので、これまでのPvEとは違った内容を提供したいと思っています。
Q:EVE Onlineをタブレットでプレイできるようになりますか?
A(Torfi氏):現段階ではこのEVE Onlineをタブレット上でプレイできるようになるのは少し難しいのですが、タブレットのテクノロジーに関してはとても楽しみにしております。現段階ではゲーム自体ではなくて、プレイヤーのゲームの準備をタブレット上でして、EVE Onlineへの接続を可能にしていきたいと思います。今後そのアプリケーションとして、このEVE Onlineという世界に接続して、新しい要素を楽しんでいただければと思います。先ほど紹介させていただいたDust514なんですけれども、これも同じテクノロジーを使っておりまして、PlayStation3と「Tranquility」を接続して、EVE OnlineとDustのプレイヤーが同じ世界でプレイできるようになります。このようなテクノロジーをタブレットにも使っていきたいと思います。
Q:EVE Onlineの日本語化に伴い、既存のプレイヤーはそれに対して、何か対応をしなければならないのか?
A(左留間氏):ネクソンポイントの利用に関して、ネクソンIDを取得していただく必要があります。それ以外のゲームの変更については、ございません。
プレイヤー主導で行われたテーブルディスカッション。既存のプレイヤーはどんな意見を持っているのか
テーブルディスカッションは、70名ほどの参加者が3つのテーブルにわかれて、それぞれのテーブルでディスカッションを行う形式。
テーブルごとに議題も変化しており、筆者のいたテーブルでは「新規プレイヤー向けに、どのくらいわかりやすく情報を提供できるか、また新規者の猛烈なドロップアウト具合について、プレイヤーサイド、運営側で出来ること」についての議論がされていた。
EVE Onlineは、そのリアリティゆえにゲームのユーザーインターフェースも多機能かつ、若干複雑な形になっており、新規者がいざゲームをはじめたとたん、目の前に現れる膨大な情報に押しつぶされてしまい「何をしていいのかがわからなくなる」といった事態に陥ることが珍しくない。これについては、既存のプレイヤーのアドバイスが重要であるものの、広大なEVE宇宙のどこでプレイヤー間のコミュニケーションをとればいいのか、それについてのわかりやすさをプレイヤーサイド・運営サイドに求める意見が見受けられた。
全体的に「新規者がコンテンツを知るための道しるべがもっとわかりやすいとよいのでは」という話し合いに推移していったのだが、30~40分ほどの時間では答えが出なかったものの、いくつかCCP・ネクソンへの意見をすることが出来ていたので、CCP・ネクソンにこれらの意見を取り入れてもらえるのを祈るばかりだ。
ディスカッション終了後は、来場者へのプレゼント抽選、サイレントチャリティーオークションの結果発表が行われ、CCP Creative Director Torfi Frans Olafsson氏、株式会社ネクソン 運用部 ゲーム運用1チーム 左留間 正之氏の挨拶で、EVE Onlineプレーヤーカンファレンス東京は幕を閉じた。