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5年の歴史を持ち若者の支持を誇る立派なコンテンツへと成長
2008年に開始された「TeSL(英語名:Taiwan e-Sports League、中国語名:台灣電子競技聯盟)」は台湾独自のeスポーツリーグで、当初はFPSの「スペシャルフォース」とレーシングゲームの「カートライダー」の2種目でしたが、4年目となった2011年のシーズンからリアルタイムストラテジーの「スタークラフト2」が加わり、現在は3種目となっています。
参加チームは現在「Wayi Spider(華義Spider)」「GAMA BEARS(橘子熊)」「XPEC IRONMEN(樂陞鋼鐵人)」「Thermaltake Apollos(曜越太陽神)」の4チーム。所属選手は一軍選手が各種目4~6名程度と小規模ですが、全てのチームが共同宿舎と練習室を所有し、総監督1名もしくは種目ごとに監督を置くという組織的な体制が整っています。また各チーム各種目にスター選手が存在し、女性選手も数名在籍するなど今や台湾の若者たちから絶大な支持を得るコンテンツへと成長しました。フェイスブックのTeSLのページの「いいね!」が5万人を超えているのを見ても、人気の高さがうかがえます。ちなみにプロゲームチームの母体となっている企業は3つのゲーム会社(Wayi、Gamania、XPEC)とPC周辺機器メーカー(Thermaltake)で、もしかしたらGAMER’S EXPRESS読者の皆様には馴染みの企業もあるかもしれません。
シンプル・イズ・ベスト?台湾のスタークラフト2リーグ
「TeSL」は毎週金土日の週三日制で半年間を1シーズンとし、4チームが順位を競うチーム対抗戦です。そして最終順位の上位2チームが正規シーズン終了後に決勝戦を行います。これは3種目ともに共通しており、毎回現地時間の午後8時からスペシャルフォース、カートライダー、スタークラフト2の順番に試合が行われます。金曜日の試合はネット放送のみですが、土日の試合は「緯來育樂台」というケーブルテレビのスポーツや映画がメインの総合エンターテインメントチャンネルで放送されています。
スタークラフト2リーグの詳しいルールとしては、先に3勝したチームが勝利する最大5セットのいわゆるBo5方式です。しかし一度の試合でエントリーできる選手は各チーム3名のみとされています。マップ順序や出場順序もあらかじめ決められた完全予告エントリー制で、第4セット第5セットに進んだ場合のみ3名の中からその場で出場選手が発表されます。世界のスタークラフトリーグに慣れている人から見ると一風変わった方式に見えるかもしれませんが、全体的に小規模でシンプルであると言えるのではないでしょうか。
気になる選手の実力ですが、スタークラフト2プロゲーマーの試合を普段から楽しんでいる方にとってはおなじみのSen選手のワントップといったところです。Sen選手は去年の東京ゲームショウで来日した選手で、この連載でもインタビューをしたので記憶に残っている方もいらっしゃるかもしれません。そしてSen選手以外の選手は日本のトップレベルの選手らと同等か少し上ぐらいのレベルですので、日本の大会を楽しんでいる皆さんには充分楽しんで観戦していただけると思います。ちなみに私の一番のお気に入りはHRU選手。実力も外見もファンサービスも何もかもが素敵な選手です。
エンターテインメント性とビジネス性を兼ね備えた理想的なコンテンツ運営
ここまで台湾プロゲーミング界の概要をご紹介してきましたが、わたしがこれほどまでに台湾プロゲーミング界に心を奪われた理由は、そのエンターテインメント性の高さにあります。試合に出場する際、選手たちはアイドルさながらにヘアスタイルを整えメイクアップをします。さらにチームのロゴマークなどのフェイスペインティングを施す場合もあります。
各チームはグッズ販売を積極的に行っており、ユニフォームはもちろん選手のポスターやチームロゴ入りのキーホルダーなどさまざまなグッズが売られています。最近は、TeSLのスポンサーであるセブンイレブンが販売している電子マネー「icash」に、プロゲーマーのデザインが登場しました。また、各チームはもとよりほとんどの選手がフェイスブックにファンページを持っており、日々さまざまな情報発信が頻繁に行われています。
サイン会やファンミーティングといったイベントも多く、選手らがファンとゲームで対戦したりステージでK-POPアイドルのダンスを披露したりするなど、普段の試合とは一味違った楽しみを提供してくれます。また、シーズンごとの決勝戦は必ず大きな会場で行われるため、ファンはあこがれのプロゲーマーを一目見ようとひいきチームのユニフォームを着て会場へ赴きます。ちなみにこのようなオフラインのイベントはたいていチケットを購入しなければなりませんが、軒並み100~300台湾ドル(日本円にして500円前後)といったところなので、ファンにとってもそれほど大きな負担にはなっていないようです。
まもなく開幕する新シーズンに注目
知られざる台湾プロゲーミングの世界、いかかでしたでしょうか。実はTeSL2011-12下半期のシーズンが2月18日(土)に開幕します。スケジュールや配信等の詳細はStarcraft Timesに掲載してありますので、興味を持たれた方は是非ご覧になってみてください。
http://sc-times.net/