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以前この連載で韓国プロゲームチームPrimeの練習室兼宿舎の取材をしましたが、今回はお約束通り台湾プロゲームチームGama BearsとWayi SPIDERの練習室の様子をお伝えいたします。前回の「TeSL」取材に引き続き、私と一緒に台湾プロゲーミングワールドをのぞいて見ましょう。
きれいな大型オフィスビル群の一角に構えられたGama Bears練習室
前回、台湾eスポーツの拠点は台北市内湖区に集結しているとご紹介しましたが、実はGama Bearsの練習室はちょっと例外です。台北市をぐるりと囲む新北市に位置する大型オフィスビルの8階に、練習室が構えられています。
入ってすぐの小部屋には、可愛い熊のロゴマークと数々のトロフィーが飾られていました。その奥に練習室があり、向かって右から縦にカートライダー、スタークラフト、スペシャルフォースと並んでいて、選手達は和気あいあいといった雰囲気で練習に励んでいました。Gama Bearsの練習室がこの場所にあるのは、同じビルの18階に母体企業であるGamaniaのオフィスがあるためです。ご存知の方も多いとは思いますがGamaniaは台湾の大手のゲーム会社で、TeSLの正式種目にもなっている韓国産レースゲーム「カートライダー」の台湾版を運営している会社でもあります。
ところで今回、ここで思いがけぬ人物との出会いがありました。その人物とは、Gama Bearsの元プロゲーマーHeero選手。残念ながら選手生活一年で引退してしまったのですが、その彼が何とゲームテスターとしてGamaniaで働いていたのです。世界的に見てもプロゲーマーという職業に就いている人の大部分が自らの将来を心配していますが、このように母体企業に就職できるというのは大変素晴らしいことだと思います。ちなみに韓国ではこのような事例はいくつかありましたが、台湾では彼が初めてだそうです。
私のためにわざわざ練習室に来ていただき、さらに現役時代のユニフォームまで着て写真を撮らせていただきました。
ビルの1階にはGamania専用レストランやカスタマーサービスセンターも
練習室はビルの中にあるので外からは見えないのですが、1階にGamania専用のレストランがあり、看板がとても目立っていました。残念ながら食事する時間はありませんでしたが、ここのフルーツティをいただいたところ、ほどよい甘酸っぱさで本当に美味しかったです。4Leaf監督によると他の食事のメニューもとても美味しいとのことで、今度チャンスがあったら是非食事をしてみたいものです。
同じく1階フロアには、Gamaniaカスタマーサービスセンターという場所がありました。番号札を取って受付カウンターで処理を行うという、日本の携帯電話ショップのようなシステムでした。ゲームアカウントに何か問題が生じた場合などに直接解決してもらえるカウンターらしいのですが、電話やメールでの問い合わせ以外にこのような場所があるのも面白いなと思いました。
プロゲーマーもモデルに採用!スポーツカジュアルブランドSPIDER SPORTS
Wayi SPIDERの母体企業Wayiもまたゲーム会社であり、TeSL正式種目である韓国産FPS「スペシャルフォース」の台湾版を運営しています。そしてそれとは別に「SPIDER SPORTS」というスポーツカジュアルブランドでアパレル事業も行っており、チームのユニフォームはもちろん、一般のスポーツカジュアルウェアをメンズ・レディースともに展開しています。実は金曜日にTeSLスタジオの2階にあるアパレル部門のオフィスにお邪魔した際、関係者の方から「店舗に練習室兼宿舎が併設されているので、お買い物がてら見に来ませんか」とのお誘いを受け、急遽見学に行ってまいりました!
「SPIDER SPORTS」は、前回ご紹介した土日のTeSLを放送している「緯来電視網」からさらに東の方向に位置する内湖区成功路という大通り沿いに店を構えています。1階フロアがゆったりとした店舗空間になっていて、あちこちにWayiの服を着たモデルの写真が飾ってあります。これ実はファッションモデルのみならずプロゲーマーもモデルとして起用されており、普段とはひと味違った選手の姿を堪能することもできるのです。
ショップ地下にひそむ秘密基地?Wayi SPIDER練習室兼宿舎
練習室は店舗のすぐ下の階にあり、非常に広いです。階段を下りてすぐのスペースにスタークラフト、左側のスペースの手前にカートライダー、その奥にスペシャルフォースのエリアがありました。真ん中のエリアには数々のトロフィーが飾られているのですが、その中に2010年秋葉原PCゲームフェスタのクリスタル楯を発見!私はこの時初めて知りましたが、スペシャルフォースチームはすでに日本に来ていたのですね。いつかスタークラフトチームも来日する日が来たら…と思わず夢を膨らませてしまいました。
まるで秘密基地のように地下にひそむ練習室ですが、併設されている宿舎もまた、まるで軍隊のような団体生活が営まれる施設といった雰囲気でした。ずらりと並んだベッドとロッカー、共同で使用する洗濯機の置かれたシャワー室、そして大型テレビが設置されたリビングに広々とした食堂などなど。ちなみにDus監督はすでに結婚していて可愛い息子さんもいるのですが(駅前で偶然Dus一家に遭遇しました!)、Wayi SPIDERでは必ず合宿生活を行わなければならないとのことで、週末婚のような生活を送っているとか。ここまで徹底しているチームも珍しいと思います。
練習室の取材を終えて
今回の練習室の取材を通じて、台湾の選手たちが韓国と同じような、あるいはそれ以上の環境の中で練習していることが分かり、正直とても驚きました。そして大会同様、チーム運営もまたeスポーツを盛り上げていこうという情熱がひしひしと伝わってきました。
もうひとつ特筆すべきは、選手らの素顔が垣間見れたこと。チームが一丸となって切磋琢磨し合う様子は、見ていて本当に好感が持てます。またテレビの前で見せる華やかな姿の一方で、自分の現在や将来に悩みながらも真剣にゲームに取り組んでいる姿に改めて感心し、応援したい気持ちがとても強くなりました。やっぱりプロゲーマーってかっこいいですね!
最後に4Leaf(張宇)監督およびGama Bears関係者の皆様、そして常盈盈チーム運営長およびWayi SPIDER関係者の皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。私はこれからも台湾eスポーツを応援し、楽しんでいきたいと思います。
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