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ゲームの果て

第7回 ゲームにおけるキャラクターAIの賢さとは何か?

三宅陽一郎(ゲームAI開発者) 2013-02-15
ゲームの果て

小説は現実と違います。しかし人間は文字を読みながら想像し、文字からでさえ、体験を作りだすことができます。虚構に現実感を与えるのは人間です。フィクションでは、それを味わう人間の能力をどれぐらい引き出すか、そして引き出したものをどのように利用するか、ということが最も重要です。

ゲーム世界におけるキャラクターの圧倒的な知的存在感

たとえば、エンターテインメントにおけるAIは、完全な本物を目指すわけではありません。それは本物を目指しながら、一方でユーザーが「それが知性だ」と思ってしまう心理的な仕掛けを利用して、ゲーム空間上に知的な存在感をもたらすことが目標です。

例えば、シューティングゲームではAIがユーザー・キャラクターに向かって、たくさんの弾を撃ちます。そうすることで、ユーザーの中には危機意識と生存本能が呼び出され、ユーザーの心理の上にAIが生きている脅威として顕れることになります。また、恋愛ゲームでは、AIに可愛い女の子の画像と声を付与することで、ユーザーから性的な欲求を引き出し、キャラクターを性的対象としてユーザーの心理の上に描き出しているのです。

だからキャラクターAIを研究する人は、「リアルなAI」(AIそのものの賢さ)を探究しながらも、一方で同時に「人間がゲーム世界の中でキャラクターを知性だと思い込む様々な心理的な仕掛け」についても研究しなければなりません。その二つの掛け算こそが、ゲーム世界におけるキャラクターの圧倒的な知的存在感を産み出すのです。

「本連載は個人として発信されているものであり、所属する団体等とは関係ありません。
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ブログ 「y_miyakeのゲームAI千夜一夜」(http://blogAI.igda.jp)
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筆者紹介/ 三宅陽一郎 (ゲームAI開発者)
1975年、兵庫県生まれ。京都大学で数学を専攻、大阪大学で物理学(物理学修士)、東京大学工学系研究科博士課程(単位取得満期退学)。2004年からゲーム業界で人工知能の研究・開発に従事。IGDA日本ゲームAI専門部会設立(世話人)、日本デジタルゲーム学会(研究委員)、CEDECアドバイザリーボード。ACM、IEEE Computational Intelligence Society、AAAI、人工知能学会会員。共著『デジタルゲームの教科書』『デジタルゲームの技術』(ソフトバンク クリエイティブ)、翻訳書『ゲームプログラマのためのC++』『C++のためのAPIデザイン』(ソフトバンク クリエイティブ)監修。「はじめてのゲームAI~意思を持つかのように行動するしくみ~」(WEB+DB PRESS Vol.68 技術評論社)論文、講演資料はWebブログを通じて公開している。

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第6回 移り行くデジタルゲームの意味

デジタル世界の中で、どこにもつながらない閉じた世界と、どこかにつながって行く世界、この二つが乖離する以上、デジタルゲームはかつてのようなデジタル時代の予行演習(=ゲーム)の意味を完全に失っているのです。

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第5回 グローバリズムとローカリズム

グローバリズムには二つの考え方があります。一つは、世界で共通のスタイルを策定して、それにのっとって物事を進めようという考え方です。

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第4回 二つの世界

僕の故郷は瀬戸内海に面した小さい街ですが、とても美しい街です。この街からは空がとても美しく見えます。僕は中学も高校も大学も勉強と研究に明け暮れて、一人でいることが多かったですが、眺める空はいつだって、僕を科学的空想やファンタジーの世界に誘ってくれました。

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第3回 ゲームの価値は。

「かつてテレビゲームの価値は自明だった」 と言うと、少し大袈裟に聞こえるかもしれません。しかし、僕たちの世代は、ちょうど小学校3年生を境に、テレビゲームのあった時代となかった時代の境界を生きた世代です。だから、テレビゲームが拓いてくれた世界の広さを身をもって体験した世代です。

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第2回 何のためにゲームを作るか?

デジタルゲームは食べ物でも、自動車でもありません。この世界のインフラではありません。エンターテインメントであり、時に芸術でもあります。この二つである限り、ゲームは常に自分自身のアイデンティティを自分自身で問い続け証明しなければならない運命にあります。

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第1回 連載にあたって

こんにちは。三宅です。僕は日本の東京でゲーム開発、特に人工知能を専門にしています。まずおことわりをしなければならないのですが、この連載は個人として書いているもので自分のいかなる公的な立場とも関係しないものです。

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