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◆東京ロケテゲームショウで得た気づきと改善点は? 出展者に直撃インタビュー

小野憲史(ゲームジャーナリスト) 2015-03-04

自主制作ゲーム開発者を対象としながら、販売を行わずにユーザーテストに特化した、世界的にも珍しいイベント「東京ロケテゲームショウ」。実際にこのイベントに出展して、ゲームがどのように変化したのか、出展者に直接インタビューを敢行しました。それぞれ、さまざまな気づきと改善点があったようです。

参加者

チームEGG株式会社  曽川義英mathru(かにみそP)

小松菜屋      HAta

---今日はよろしくお願いします。はじめに簡単な自己紹介をお願いします。

曽川 チームECG代表取締役の曽川義英です。弊社は2012年に「おもしろいアプリを作ろう!」というコンセプトで3名のチームとして発足し、2013年の年末に法人化しました。これまで10本くらいアプリをリリースしています。もともと自分の高校時代の友人がシステムエンジニアをやっていまして、その紹介でmathruと出会いました。もう一人、小原という者がいて、3名で開発をしています。

mathru 同じくチームEGG取締役のmathruです。Unityでプログラミングをしたり、ウェブサイトの開発をしたり、映像や楽曲の制作も行っています。

HAta 小松菜屋のHAtaです。もともと小松菜屋は同人サークルで、自分がプログラミングをして弟が絵を描く兄弟ユニットでした。今は自主制作だけでなく、いろいろなゲーム開発のお手伝いもしています。これまで30本くらいリリースして、そのうち有料ゲームは20本くらいですね。ゲーム制作の歴史は長いです。それこそ子どもの頃から紙で双六を作ったり、RPGツクールで挫折したり、一通り経験してきました。

---東京ロケテゲームショウについてどのように知られたのですか?
曽川 2014年10月に「東京ゲームショウインディーゲームコーナーの裏の裏」というイベントがあり、そこでロケテショウ2014の概要が書かれた名刺をいただきました。それで何かの宣伝になればと思い、参加しました。なのでロケテショウ2014が初参加でしたね。
HAta 自分は元々IGDA日本SIG-Indieのセミナーに顔を出していたんですよ。そこで今度こんなイベントをやるんだと聞いたのが、2009年に初開催された「秋葉原ロケテゲームショウ」だったんです。出展するだけでなく、運営のお手伝いをしたり、弟がロゴを、兄はポスターをデザインしたりしました(注:東京ロケテゲームショウのロゴは小松菜屋作成のものが使用されている)。そこから2012、2013とすべて参加していますね。

---まさに対照的ですね。では、実際にどんなゲームを出展されたのか、それぞれ教えてください。
曽川 僕らが出展したのは2014年8月にリリースしたリズムアクション『ビート&マジシャンズ』(http://mathru.net/apps/1481.html)です。もともとPRが主目的で、ユーザーテストはサブ的な位置づけでした。来場者にネットで拡散してもらうついでに、何か反応が聞ければ良いなと・・・。ところが出展してみると、来場者からどんどんフィードバックがきて、そっちの方がメインになっちゃいましたね。合計で改善要求アンケートが30枚くらい集まって、あとで精査したら10項目くらいになりました。</a>

---それはよかったですね。どういった指摘が多かったですか?
曽川 まずはUI周りですね。画面のどこを押したら良いか分からないという声が多くて、UIはすべて作りなおしました。もっとも、あまりに変えすぎると既存ユーザーが混乱してしまうので、画面構成は変えずに、タッチできる場所だけ変えたという感じです。またスワイプによる操作でミスが目立っていたので、判定をゆるくしました。あと色覚異常の方から画面がみづらいという声もあり、明度や彩度を調整しました。これなどはまさに自分たちだけでは気づかなかったので、出展して良かった点の一つです。

---同じような声は他にもありました。ロケテショウでは操作性などを確認するのに向いているといえそうです。
HAta 任天堂の岩田聡さんが以前「宮本茂さんの肩越しの視線」の重要性について語られていましたが、まさにそれですね。社内からまったく関係ない人を連れてきてゲームを遊んでもらい、プレイする様子を後ろから眺めて監察するという・・・。
曽川 また「自分たちが知っている曲で遊びたい」という声も多く寄せられました。そこでボカロ曲でJASRACの登録曲をアップデートで追加しました。実はmathruはボカロPもやっていて、その人脈をたどって紹介してもらい、ニコニコ動画で人気の楽曲を収録したんです。

mathru 出展時はオリジナル曲が20曲でしたが、そこからバージョンアップでボカロ系の曲を20曲追加しました。
曽川 本アプリはF2Pでリリースされていて、追加楽曲で課金する形です。これによってユーザーをぐっと増やすことができました。楽曲ごとのプレイ回数も自動的に計測できるようにしていて、人気楽曲の傾向も取ることができます。ただ、版権曲を入れるとコストもかかりますから、最初は迷っていたんですよね。それがロケテショウに出展することでニーズが確実にあるとわかり、採用の決め手になりました。

---では続いてHAtaさんに話を移したいと思います。
HAta いろいろありますが、やはり秋葉原ロケテゲームショウの思い出が強烈だったので、その時の話をさせてください。自分たちが出展したのは海の中を進むゲームでした。強制横スクロールで障害物を避けつつ、どこまで進めるか距離を競うアクションゲームですね。それだけ聞くと簡単なんですが、実は会場で企画から完成までその場で決めて、来場者の意見を聞きながらライブコーディングで開発したんですよ。
曽川 本当ですか?
HAta ええ。ライブコーディングは昔からやっていて、よく家で集まって飲み会をしたりすると、楽器が得意な奴が酔っ払ってギターを弾き出したりするじゃないですか。あのノリで昔から、飲み会でミニゲームを作っていたんですよ。それこそ怪獣映画を見たからゴジラのゲームを作るとか。電車で変な人をみたから電車のゲームを作るとか。でも、あんまりそういう人っていないんですよね。

---かなりのレアキャラだと思います。
HAta それで、いっかい公衆の場でエンタテインメントとしてできないかと思って、ロケテショウに挑戦したんですよ。みんなで企画を決めて、コーディングして、ブラッシュアップして、音も入れて、CD-Rに焼いて配るまで3時間くらいでやったのかな。効果音はみんなの声を録音して入れました。プログラム言語はHSPを使いました。
---タイムテーブルを教えてもらえますか?
HAta 最初の30分でアンケートをとって、次の1時間でゲームのジャンルと登場キャラクターを決めました。事前に初音ミクのデフォルメキャラクターが使えるように申請をしておき、ブースの周りに集まってくれた来場者にアンケートをとったら、巡音ルカのアクションゲームになりました。それで自分の方で「障害物を避けて進むゲーム」という方向性を決めて、つくりはじめました。実際のコーディング時間は正味1時間ですね。残りの時間で音声収録をして、プログラムに組み込み、ひととおり完成しました。あとはギリギリまで粘ってCD-Rに焼きました。

---それだけ短いと、来場者の意見をもとに開発に活かすのも難しかったのでは?
HAta 5分コーディングして1分テストプレイしてもらう、というループで進めました。HSPだとそういった作りが可能なんですよ。もともと、いろんなジャンルのゲームを作るのが好きで、過去のコードをライブラリ化していたのも効率化に貢献しました。中にはずっと後ろに張り付いて、自分がコードを書いたり、Photoshopで絵を描くところを見学されていた、コアな来場者もいらっしゃいましたよ。また運営の方が即興でマイクパフォーマンスをして、来場者を集めてくれたりもしました。

---何か大きくゲームが変わったタイミングはありましたか?
HAta SIG-Indie正世話人の七邊信重さんに「ちょっとゲームが単調じゃないですかね?」と言われたんです。それで敵キャラクターの移動速度をランダムに変えてみました。これで劇的におもしろさが変わったんです。プログラム的には一行追加されただけなのに、周りから「ゲームに命が入った!」と言われて、来場者の反応が大きく変わりました。それまでは「テストプレイ」でしたが、そこから「ゲームプレイ」に変わって、みんなおもしろがって率先して遊んでくれるようになりましたね。

---それはおもしろいですね。
HAta そうですね。そこから「ハイスコアが欲しい」「ゲームオーバーになっても、再挑戦できる機能が欲しい」など、いろんなアイディアが寄せられて、どんどん盛り上がっていきました。お客さんの反応を直接取り入れながらゲームを作っていく、ライブコーディングならではの良さが出たと思います。
---それにしても5分が1単位というのはすごいですね。

HAta 過去にもTwitterで公開してコメントを集めながら、1日単位で開発するなどはしたことがありました。でも5分というのは自分も初めてでした。もちろん、それぞれの良さがあると思いますが、ロケテショウという年に1回のお祭りの場でやるのには、短い方が向いていますね。

---出展後に何か反響や影響はありましたか?
HAta 確かにチームEGGさんの事例と違って、ゲーム単体という意味では特にありません。ただ結果的に「人生のロケテ」になったんじゃないかなと思います。
---人生のロケテ?
HAta 実は秋葉原ロケテゲームショウの記事がネットに公開されて、写真こそ撮られませんでしたが、知っている人が読めば個人が特定できるような内容だったんですよ。その後、思い立って一般のゲーム会社に就職したんですが、面接をしてくれた人がその記事を読んでいて、自分のことを知ってくれていたんですね。そのことがプラスに働いたようで、就職が決まりました。おかげで肝も据わりました。

---なるほど、それは良い話ですね。
HAta それで就職したらロケテショウなどにも出られないのかなと思っていたんですが、上司に聞いたら「どんどん参加して欲しい」と言われまして。時間がある限り参加させてもらっています。今では会社でゲームを作るのが日常になっているので、ロケテショウなどでライブコーディングをすると新鮮ですね。

---小松菜屋としての活動は継続されているのですか?
HAta はい、そちらもやっています。2014年にフライハイワークスさんからニンテンドー3DSの配信ゲームで「魔神少女-Chronicle 2D ACT-」(http://insidesystem.in.net/mjsj/)というアクションゲームがリリースされ、好評をいただいたので続編「エピソード2」(http://insidesystem.in.net/mjsj2)の制作が決まりました。このプロジェクトで進行管理などをさせていただいています。もう少ししたら詳細が公開される予定です。
曽川 ニンテンドー3DSとはおもしろいですね。自分たちも今、新作アプリの開発を進めていて、もう少ししたら公開できる予定です。

---ありがとうございました。ちなみにIGDA日本では4月24日に東京ロケテゲームショウスペシャルと題して、「Independent Game Developers Summit(IGDS)2015」(https://sites.google.com/site/igdsogc2015/)も予定しています。こちらはユーザーテストではなく、ビジネスマッチングに焦点を当てたイベントです。一方でロケテショウが次回開催されるとしたら、何を期待しますか?
曽川 自分たちは前回が初めてだったので、なんともいえないですね。ただ何かリアルなイベントでなければできないようなことを、アプリのテストと絡めてやりたいと思っています。
HAta 2013が秋葉原で開催されたこともあって、2014は規模が小さくなってしまった感じも受けました。チームEGGさんの話とは逆になりますが、ユーザーテストだけでなく、宣伝という側面もあると思うので、出展者数も来場者数もある程度の規模があると嬉しいですね。またインターネット環境についても、さらなる充実を期待しています。
---今日はありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。

筆者紹介/ 小野憲史 (ゲームジャーナリスト)
平日は主夫業に忙しいゲームジャーナリスト。 雑誌『ゲーム批評』編集長を経て2000年よりフリーランスで活動中。Webを中心に業界レポート、インタビュー、コラムなどを発表している。 2012年よりNPO法人国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)代表。

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