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3つの開発者コミュニティが開催する合同勉強会「HDIfes」

高松拳人(フリーランス) 2015-04-21

hcdvalue、DevLOVE、IGDA日本という3つの開発者コミュニティが開催する合同勉強会HDIfesが4月12日に開かれました。

IGDA日本 http://www.igda.jp/

HDIfesはそれぞれ違う視点から同じテーマを見つめ、新たな気づきを得ることを目的として開催されています。
第四回目となった今回は「人を巻き込みチームを作る」と題し、「どうやってチームを作るのか、チームのモチベーションをどう上げるか」といったことをテーマに、各コミュニティから3名が講演しました。

「プロジェクトを成功させるための「期待マネジメント」」

中村 洋氏(ギルドワークス)

認定スクラムマスター資格を持ち、組織改善などを行ってきた中村氏が今回講演したのは「期待マネジメント」について。
プロジェクトの目標が不明だったり、バラバラだったりするとうまくいかないので、目標を明確にするために「期待マネジメント」をするとのことです。
期待マネジメントは、目標やチームの期待をすりあわせていくことで不確実な世界を乗り切るために必要になります。
期待マネジメントの道具として”インセプションデッキ”というWhyとHowの2つに分類される10個のタスクエスチョンを用います。これは一回で終わりではなく定期的に見直していく必要があるとのことです。
自分たちでインセプションデッキを作って期待マネジメントを行うと、より深くプロダクトについて考えるようになり、自律的に動けるようになるため、結果的にプロジェクトの進みも早くなるとのことでした。
さらに、メンバーの価値観や内側の期待、貢献できそうなことを明らかにするために、「ドラッカー風エクササイズ」を行うそうです。
こういった取り組みを続けていくと、「正しいものを、正しく作る道」が見えてくるとのこと。
最後に中村氏は、良いチームとは「他人ごとの言葉が出てこないチーム」だとまとめました。

「チーム作りとモノ作りの同時進行~ゲーム開発の現場と大学教育の実践/もじぴったんとアオモリズムの場合~」

 中村隆之氏(神奈川工科大学 情報メディア学科 特任准教授)

ナムコでゲーム開発を経験した後、神奈川工科大学の特任准教授としてゲームデザイン教育に従事している中村氏。
「ことばのパズルもじぴったんDS」制作時のお話が中心でした。
当時、複数プロジェクトのリーダーを兼任する必要があった中村氏は、チームのモチベーションを保ちつつ商品のクオリティを上げるために、「自分がいなくても決めて進む考え方、仕組みを導入する必要があった」そうです。
その一環として、合理的なデザインを行うために「価値の評価軸」を設け、アイデアの絞り込みなどを、すべてその評価軸をベースに行ったとのこと。
その際もアイデアが評価軸にそっているかどうかの票はとりますが、多数決で決めることはしなかったそうです。
少数の意見でも、理由を共有することで新たな発見があるかもしれないからです。
また、個人攻撃への発展を防ぐために「作っているものやアイデアが問題なのであって、アイデアを出した人には問題はない」という考えを徹底したそうです。
もっとも、本当に大切だったのはチームのムード作りだったとか。これには部下の女性ディレクターが、メンバーの誕生日に毎回ケーキを用意してサプライズをするなどをしていい雰囲気づくりを演出した成果が大きかったそうです。
そういうこともあり、9年経ったいまでもメンバーは皆でお酒を飲むほど仲がいいそうです。

「なぜ人を巻き込むの? ――巻き込む理由、チームの意味」

 山岸ひとみ氏(Gaji-Labo 取締役)

ウェブ制作やアプリケーション制作など、「システム」を考える会社Gaji-Laboを経営している山岸氏。「チームとは? 組織とは?」というお話でした。
はじめに受講者も参加しながらチームを作る課程のフローチャートを辿って行きました。ここで浮上してきたチームを作る際の障壁に「(個人的な)思いがあるか」「一緒にやる人がいるかどうか」「同じ目的に向かえているかどうか」というのがありました。
あるプロジェクトでは「思いがあればやれる」「みんな同じ目的を持っていると思い込んでいた」ものの、実際は自分勝手な思いしかなく、だれも責任をとろうとしなかったため、失敗してしまった苦い経験があるとのこと。
その反省を活かし、今では事前に「なぜやるのか」を徹底的にすり合わせたり、定期的に振り返って確認、共有をおこなっているとのこと。さらにそれに対して、第三者からフィードバックをもらうようにしているようです。そうすることで、「高い壁」を乗り越えることができたとのことでした。

ダイアログ(対話の場)
すべての講演が終わったあと、ダイアログ(対話の場)という時間がありました。
HDIfesではセミナーの話を聞いて満足するだけではなく、受講者同士でセミナーの話を受けて学んだこと、工夫していることを話し合って欲しいという思いから、この時間が設けられています。
3,4人のグループになり、自分が抱えている問題点や今後やっていきたいこと等を順番に語っていきました。
筆者が参加したグループのメンバーは「上から降りてくる仕事をこなすだけで横とのつながりが全くない」「これは違うんじゃないの? という指摘がしづらい」「お互いが気持ちよく仕事をするにはどうすればいいんだろう」といった悩みがある人たちでした。
今回の講演を受けて「いきなりは変えられないけど、ちょっとずつはたらきかけて現状を変えていきたい」「期待マネジメントという手法が面白いので使っていきたい」と悩みに対して前向きに取り組んでいく姿勢になり、HDIfes第4回は有意義なものになったと感じました。

筆者紹介/ 高松拳人 (フリーランス)
根っからの創作活動好きなフリーランス。主にノベルゲームのスクリプトやweb媒体での記事執筆活動を生業としている。作りたいものを作るために同人活動を積極的に行っており、様々な作品を公開している。

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