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勉強でもスポーツでも芸術でも、人は「もっと上達したい」という欲求にかられたとき、専門的な指導者による講義や、より質の高い練習を望むものです。もしも、その指導者が憧れの人だったら……考えただけでも夢のような話ではないでしょうか。ゲームプレイの分野において、それを実現させたのが他でもない「Red Bull Gaming U」なのです。
ゲーミングコンペティションイベント「Red Bull 5G」のスピンオフ企画としてスタートした「Red Bull Gaming U」は、今年で3回目を迎える学生向けゲーミングキャンプ。今回は8月30日(火)から31日(水)にかけて、東京・渋谷にあるレッドブル・スタジオ東京ホールにて1泊2日で開催されました。
http://www.redbull.com/jp/ja/games/events/1331805043091/red-bull-gaming-u-2016-street-fighter-v
ウメハラ、ときど、板橋ザンギエフなど超豪華な講師陣!
過去には「Halo 4」、「ぷよぷよテトリス」が採用されてきましたが、今年のゲームタイトルはなんと「ストリートファイター∨」! 講師は世界で活躍する8名のプロ格闘ゲーマーです。格ゲーの取材はほとんどしたことのない私でもお会いしたことのある選手が数名含まれており、名前だけなら全員知っているほどの有名選手ばかり。参加した8大学24名の学生たちも「8人全員、憧れの選手」であると異口同音に話していたのが印象的でした。
朝10時、「Red Bull 5G」のプロジェクトアドバイザーでもある松井悠氏の挨拶でイベントがスタート。続いて行われた講師の紹介で、8名が前方にずらりと並んだ姿はまさに圧巻! とにかく豪華で、ミーハー心が騒ぐ、騒ぐ(笑) スマホで写真を撮る参加学生たちに混じって、というより率先してシャッターを切り続ける私。こういう写真を撮られ慣れているんだろうなと感じさせる堂々とした立ち振る舞いは、私がこれまで他のさまざまなゲームタイトルで見てきた海外のプロゲーマーとなんら遜色のない姿でした。
その後、私から個別にお声掛けして簡単にご挨拶をさせていただいたのですが、とにかくみなさん優しい。正直に、「格ゲーには詳しくない、普段はRTSやMOBAの取材執筆をしている」と話しても、逆にそういう方が格ゲーを取り上げてくれて嬉しいと歓迎してくれました。このとき私が一番お世話になったのが板橋ザンギエフ選手。今回の講師陣のなかで、唯一私の活動歴などをきちんと把握してくれている選手です。面識のない選手たちに私を紹介してくれたり、ストリートファイター∨をよく知らない私を気遣って別のゲームに例えて説明してくれたりと、本当に面倒見の良い選手で非常に助かりました。
講師陣のドラフトを経て大学別の練習へ
イベントの概要は、1日目に講義や練習を行い、2日目にトーナメントを開くというのが大まかな流れです。もう少し具体的に言うと、最初に講師陣が参加者のデータを手に連勝イベントでのプレイの様子や人柄などを観察し、ドラフトを通じて担当チームを決定します。その後、チームごとに個室に分かれてみっちり練習し、翌日にその成果を活かす場としてトーナメントが開催されるというもの。ちなみに優勝・準優勝チームには、「Red Bull 5G 2016 FINALS」への招待とエキシビジョンマッチ参加権、「第3回TOPANGA大学対抗戦」への出場権が与えられます。
見学者の立場として、この日一番のハイライトは講師発表のシーンでした。各部屋で待機する学生たちのもとへ講師が挨拶に行くのです。待っている学生たちはドキドキしながら祈りをささげていたり、そんなことはお構いなくすでにゲームに夢中だったりとさまざま。
自分たちの部屋へ入ってきた講師を見て、歓喜の声を上げる生徒もいれば、あまりの驚きで過呼吸気味になっていた生徒も。一方の講師陣も、東大卒プロゲーマーときど選手が東京大学の部屋へフェイントをかけにいくなど、このイベントを楽しんでいる様子でした。
ところで、この準備された部屋がまたすごい。普段はRed Bullの会議室だそうですが、この日は完全なるゲームプレイ仕様に。人数分のモニターやアーケードコントローラーが完備され、ノートや鉛筆などの備品も置かれています。小さな冷蔵庫に入ったレッドブルは飲み放題、さらに途中でお菓子の差し入れまで! 防音効果もしっかりしていて、中の声が外に漏れることはありませんでした。
気になる各講師の個性を探る
午後2時、各部屋で本格的な練習が始まりました。気になるのはやはり各講師の教え方。私は各部屋を3回ぐらいずつ見て回りましたが、短時間の見学だけでも講師の個性を垣間見ることができました。
外から見たときの姿が特徴的だったのは、駒澤大学を担当したときど選手。自らお手本を見せるとき以外は、ほぼ立っているんです。生徒たちを席に座らせて各自プレイをさせ、それを見回りながら技術を指導。理論を教えるときは前に立ってホワイトボードを活用するなど、私たちが一般的にイメージする「先生」の姿そのものでした。
別の意味で他にない特徴を見せていたのが、常葉大学を担当するsako選手。実力者1名と初心者2名という教える側としては非常に難しい生徒構成でしたが、奥様であり、マネージャーでもあるあききさんと二人三脚で、家族だんらんのような温かい雰囲気をつくり上げていました。
対照的なメソッドで印象に残ったのは、ふ~ど選手とウメハラ選手。慶応大学担当のふ~ど選手は、主に自らお手本を見せつつ技術や理論を教える方法をとっていました。技やゲージの使い方など、翌日のトーナメントですぐに活用できそうなスキルを中心に教えていた様子でした。
逆に自らレバーを握ることはほとんどせず、生徒のプレイを静かに見守ってからアドバイスする方法をとっていたのは同志社大学担当のウメハラ選手。アドバイスの内容も「どうすれば勝つことができるのか」など、戦うときの心構えや戦略の組み立て方などをメインに教えていたようでした。
一方、静かな時間が少なかったのは東京大学。講師のハイタニ選手からの説明もさることながら、生徒からの質問が非常に積極的だったように思います。その内容は技術的、戦略的なことにとどまらずメモの取り方にまでおよび、上達するためのありとあらゆる方法を伝授していた模様です。
静かな時間が少なかったのは、板橋ザンギエフ選手の担当する神戸電子専門学校も同じ。ただしここは「面倒見の良い兄貴と3人の弟分」といった感じで常に和気あいあい、とにかく楽しくプレイしようという雰囲気でした。教室をゲーセンのような雰囲気に変えてしまうのも、板橋ザンギエフ選手の人柄のなせる技かもしれません。
ボンちゃん選手の担当する新潟大学は、全体的に生徒たちの実力が高かったせいか、できなくても戦えるけど使えると強いといったテクニックを中心にハイレベルな講義が繰り広げられていた様子です。これには生徒たちも「目からうろこ」といわんばかりに、目をキラキラと輝かせていました。
そして私が一番印象に残ったのは、秋田大学担当のマゴ選手です。いわゆる「褒めて伸ばす」メソッド。細かい動きやコンボの使い方、勝つことへのこだわりについてなど多岐にわたるカリキュラムが特徴でしたが、それ以上に目を引いたのがメンタル面に関する発言の数々。「こういうミスは誰でも起こり得るから自分はダメだと思わないほうがいい」とアドバイスしたり、「イラつくこともあるけどゲームは負けているほうが楽しいから」と対戦で負けている生徒を激励したり。これには思わずうるっと来てしまい、私だったらこういう先生に教わりたいな、と思ったのでした。
すべての人が笑顔になる夢のイベント
今回の取材を通じて強く感じたのは、このイベントに関わったすべての人が笑顔だったこと。生徒たちにとっては、憧れの選手に会えるだけでも感動ものなのに、直々に指導までしてもらえるとなったらそれはもう夢のようなお話なわけで、笑顔になるのは当たり前。ところが講師陣もとても楽しそうだったのが、非常に印象に残りました。ゲーセン市場の縮小やオンラインゲームの多様化の影響などでかつてより若年層のプレイヤーが減ってきているといい、講師陣としても未来を担う若いプレイヤーの存在が嬉しかったのかも知れません。そしてこのイベントをつくりあげ支えてきたスタッフも、自らの仕事に誇りを感じつつその様子を笑顔で見守るという、大変心温まるイベントでした。
ちなみに2日目のトーナメントの結果は、ボンちゃん選手率いる新潟大学が優勝したとのこと。生徒たちの実力が高く、ハイレベルな技術指導までしていたあのチームです。後日、たまたまお話する機会があったレッドブル社員の方は「(レッドブル・アスリートであるボンちゃんの優勝が)出来レースだと思われたら困る(笑)」と言いながらも、活躍に喜びを隠せない様子でした。「会社のために張り切ってくれるんですよね」とのことで、やはりホームゲームは選手に力を与えるのかもしれません。
ツイッターのハッシュタグ #RedBullGamingU を見ると、当日の様子が分かってとても面白いのでおススメです。配信も2日目のアーカイブが残っているので、興味のある方は是非ご覧になってみてはいかがでしょうか。
https://www.twitch.tv/redbulljapan/v/86705110
http://sc-times.net/