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Unityで簡単・手軽に始められるアプリのマネタイズと最適化 「Unite 2017 Tokyo」講演レポート

河本 直也(groovesync gaming) 2017-05-18

2017年5月8日(月)・9日(火)にゲームエンジンUnityの公式カンファレンス「Unite 2017 Tokyo」が開催された。エンジニア・デザイナー・プランナーなどUnityを利用する幅広いユーザーを対象とするUnite 2017 Tokyoは、昨年のヒルトン東京お台場から規模を拡大して東京国際フォーラムで開催。Unityに関するテクニカルな講演はもちろん、非ゲーム分野におけるUnityの利用事例や昨今話題のVR(Virtual Reality:仮想現実)・AR(Augmented Reality:拡張現実)・MR(Mixed Reality:複合現実)のコンテンツを題材にした講演も目立った。

本稿では、「Unity Ads / Analytics / IAP+αをつかったマネタイゼーションの最適化とベストプラクティス」と題して、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン フィールドエンジニア 鎌田 泰行氏とシューティングゲーム『TIME LOCKER』のデベロッパーであるOtsuka Sotaro氏によって行われた講演のレポートをお届けする。

鎌田 泰行
Web開発会社で勤務をしながらUnityに興味を持ち、コミュニティ活動を積極的に行う。その後、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社に転職し、コミュニティエンジニアとしてWebサイトの管理やコミュニティイベントの運営・サポートを行っている。(Unite Tokyo 2017公式サイトより引用)
Otsuka Sotaro
『TIME LOCKER』の作者。Best of Indie Stream Award 2016受賞。App Store iPhoneベストゲーム2016次点。(Unite Tokyo 2017公式サイトより引用)

TIME LOCKER

『TIME LOCKER』は、障害物を避けながらどこまで進めるかを競う人気カジュアルゲーム『Crossy Road』と、自分が動いている間だけ時間が進むファーストパーソン・シューティングゲーム『Superhot』から着想を得て開発されたスマホアプリ。プレイヤーは、クマや恐竜、ドローンといった様々なキャラクターを操り、敵を倒してスコアを稼ぎながらひたすら前進していく。自分が動いている間だけ時間が進むため、敵に当たらないよう自分と時間を操りながら、慎重に、時に大胆に進んでいくのが攻略のポイント。

ゲームのコアループにIAPとAdsを組み込む

はじめに、「ゲームのコアループにIAP(In-App Purchasing:アプリ内課金)・Ads(広告)を組み込む」をテーマに、Unityの提供するサービス「Unity IAP」、「Unity Ads」の説明が鎌田氏から行われた。プレイヤーがゲームの進行に行き詰まるタイミング(「どうしてもこのステージがクリアできない!」、「ちょっと資材が足りない!」など)にIAP・Adsを組み込み、ゲームの進行の手助けになるもの(コンティニュー機会やゲーム内通貨など)を与えてあげるのが、実装のうえで重要になってくると述べた。

IAPに関しては、プラットフォームごとにトランザクションのフローが異なるため、複数のプラットフォームでの導入は敷居が高いとのこと。鎌田氏は、「Unity IAP」を使えばトランザクションのフローを統一することができ、「Codeless IAP」という機能を使えばクリックひとつで一行もコードを書かずにIAPを実装できると説明した。Unity IAPは、主要なプラットフォームに加え、将来的にはXiaomi(中国のAndroidのアプリストア)にも対応する予定とのことで、Otsuka Sotaro氏も新たな市場に興味津々という様子だった。

続いて、動画広告サービス「Unity Ads」の説明が行われた。Unity Adsは、課金プレイヤー、無課金プレイヤー問わず、すべてのプレイヤーをマネタイズの対象にするためのサービスで、Unityで開発されたアプリに簡単に実装できるのが特徴。Unity Adsに関しても、Codeless IAPのソースコードをもとに鎌田氏が作成した「CodelessAds」によってクリックひとつで一行もコードを書かずに実装できる。ただし、CodelessAdsは、あくまで非公式 & プログラミングが苦手な方向けということなので、それを理解したうえで利用してみるのがいいだろう。

また、TIME LOCKERにおけるUnity Adsの実装について、Otsuka Sotaro氏から解説が行われた。TIME LOCKERは、ゲームオーバー時に「ゲーム内通貨を消費」、または「動画広告を視聴」でコンティニューが可能で、他にも、動画広告を視聴することで使い切りの強化アイテムやキャラクターを購入・アンロックできるゲーム内通貨を獲得できる、という実装が施されている。動画広告を視聴するかどうかの判断をプレイヤーに任せているのがポイントのようだ。

Analyticsで自分のゲームのプレイヤーを知る

赤色=IAPの収益額 / 黄色=Adsの収益額 / 青色=DAU

Unity Analyticsから抽出したTIME LOCKERのIAP・Ads・DAUのデータを見ながら、アプリストアにフィーチャーされた際にOtsuka Sotaro氏がどういった動きを行っていたか解説が行われた。Ads(黄色)とDAU(青色)に関しては、プレイヤーの数に比例して収益額も増えているが、IAP(赤色)とDAU(青色)に関しては比例していないように見える。IAPのグラフが伸びている部分は、2016年末~2017年始にかけてアプリストアでフィーチャーされたタイミングと、課金アイテムを増やしたタイミングが重なったのが、収益の増加につながったのではとOtsuka Sotaro氏は推測を述べた。

鎌田氏は、ローンチ後、アプリストアでのフィーチャー、スケールアップを図るフェーズでは、Analyticsを活用して自分のゲームのプレイヤーを知ることが重要だと主張。

「Unity Analytics」は、プレイヤーのデータを視覚化できるサービスで、機能をエディタ上からオンにするだけで、DAUやリテンション率(継続率)を確認できる。鎌田氏から、Unity Analyticsで見るべきポイントとして、「1回あたりのプレイ時間」、「リテンション率」、「どの国でよく遊ばれているか」、「どの課金アイテムがよく売れているか」などが挙げられた。

プレイヤーをセグメントし最適なサジェストをする

緑色=ミノー:課金の合計金額が~5$ / 黄色=ドルフィン:課金の合計金額が5~20$ / オレンジ色=ホエール:課金の合計金額が20$~

基本プレイ無料のゲームを遊んでいるのは、ほとんどが無課金プレイヤーであるのは言うまでもないが、ゲームの収益を支えているのは一部の高額課金プレイヤーである。収益化を考えるうえで、高額課金プレイヤーの動向を無視することはできない。Unity Analyticsには、課金の合計額ごとのセグメント(ミノー、ドルフィン、ホエール)がデフォルトで存在しており、セグメントごとの動向を見ながらゲーム設定の値を調整することができる。

鎌田氏は続けて、海外のアプリで広告の出現頻度に関するABテストを行ったグラフを例に挙げ、Unity Analyticsを活用することの重要性について説明。グラフを見てわかる通り、広告の出現頻度が10分~2分ではプレイヤーのリテンション率(継続率)はあまり変わらないが、1分では急激に下がっていることが確認できる。つまり、広告の出現頻度が1分というのは、ユーザーにとって許容できないものであるということだ。Unity Analyticsを活用しながらこういったテストを繰り返し、いわゆる“ゴールデンナンバー”を見つけ出す必要があると鎌田氏は述べた。

講演の最後に、Unity Analyticsの「Remote Settings」についての新情報も発表された。Remote Settingsは、現在クローズドαテスト中の、Unity Analytics上でユーザーの動向を見ながら、リアルタイムにゲーム設定の値を変更できる機能。セグメントごとの値の変更にも対応予定で、例えば国によってゲームの習熟度が違う場合、国ごとでゲームの難度を変更したり、課金者にはゲームの難度を上げたりと、さまざまな使い方ができるとのこと。

Remote Settingsの詳細は追って発表されるとのことなので、興味のある方はUnityのマネタイズに関する情報を発信しているFacebookページ「Unity マネタイゼーション情報局」をこまめにチェックしておくといいだろう。

Unity マネタイゼーション情報局
https://www.facebook.com/unitymonetization/

本講演は、Unity IAP、Unity Adsの概要とUnity Analyticsを活用したマネタイズの最適化に関する情報、Remote Settingsの新情報など、盛りだくさんの内容となった。一貫して、マネタイズの開始~最適化まで、簡単・手軽に行えるようにする、という方向性が感じられた。簡単・手軽にマネタイズを行えるということは、デベロッパーがゲームの開発自体に注力できるということでもあり、とても喜ばしいことではないだろうか。これからUnityでマネタイズを始めたい方や開発がひと段落してマネタイズの最適化に関心を持っている方は、ぜひ講演のスライドや動画を見てみてほしい。

講演のスライドは公開済み、動画に関しては後日公開予定。

『TIME LOCKER』

筆者紹介/ 河本 直也 (groovesync gaming)
VEXATION(ベクセイション)のプレイヤーネームで2013年以降、コンシューマーFPS『Halo』シリーズの公式大会を3連覇。現在はゲーム関係のイベント運営、ライブ配信、ライティング、動画制作などの業務に携わる。
https://twitter.com/_VEXATION
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